参考にしたい飲食店のInstagram活用事例5選 ― 共通する「うまくいく理由」を分析する

飲食店Instagram運用、うまくいく理由3つの共通点を示したオリジナル図解
5つの事例に共通する3つのポイント(オリジナル図解)

「他の飲食店はどんな投稿をしているんだろう」「参考になりそうなアカウントを探しているけれど、どこを見ればいいか分からない」——Instagram運用を任されている担当者の方から、こうした声をよく聞きます。

有名店の投稿を眺めているだけでは、「センスがいいな」で終わってしまいがちです。しかし一歩踏み込んで、「なぜこの投稿の並びなのか」「なぜこのキャプションの書き方なのか」という構造まで見ていくと、自分の店舗やブランドにもそのまま応用できるヒントが数多く見つかります。

この記事では、実際に公開されている飲食店の公式Instagramアカウントを5つ取り上げ、事実(どんなアカウントか)と分析(何が参考になるか)を分けながら、具体的にどう自分の運用に活かせるかまで整理しました。フォロワー数や実績の数値は、公表・報道されている情報の範囲でのみ記載しています。

目次

先に結論:5つの事例に共通するポイント

先に結論からお伝えすると、今回取り上げる5つの事例に共通しているのは、次の3点です。

  • 商品写真だけでなく「その店で過ごす時間」や「その店らしい世界観」を伝えている
  • 投稿の見た目・言葉づかいのトーンに一貫したルールがある
  • フォロワーとの接点を、投稿以外の企画(ライブ配信、グッズ、コラボなど)でも作っている

この3点を頭に置きながら、各事例を見ていきます。

事例1:NO COFFEE(福岡・平尾)

NO COFFEEのプレローンチ型ブランディングの流れを示すオリジナル図解
事例1:NO COFFEEのプレローンチ型ブランディング(オリジナル図解)

どんなアカウントか(事実)

NO COFFEEは、2015年12月27日に福岡市・平尾にオープンしたコーヒースタンドの公式アカウント(@nocoffee_)です。オーナーの佐藤慎介氏は東京から福岡に移り住み、あえて天神のような繁華街ではなく平尾という立地を選びました。オープン前からInstagramでオリジナルグッズを予告し、オンラインストアで先行販売を行うという手法を取ったことが、複数のインタビュー記事で紹介されています。この取り組みはWWDやFASHIONSNAP.COMといったファッションメディアにも取り上げられ、開業前から認知が広がりました。アカウントのフォロワー数はオープン当初の紹介記事では6万人台と伝えられていましたが、直近の情報では8万人台まで増えている様子がうかがえます(フォロワー数は日々変動するため、最新の数値はアカウントを直接ご確認ください)。オープン後も、ミッキーマウスとのコラボTシャツをはじめ、異業種とのコラボグッズを継続的に展開しています。

何が参考になるか(分析)

注目したいのは、「オープンしてから告知する」のではなく「オープン前からアカウントを育てておく」という順番です。立地としては目立たない場所を選びながらも、Instagram上ではグッズという「手に取れるもの」を通じてブランドの世界観を先に見せています。コーヒーの写真だけでなく、Tシャツやコラボ商品の写真が並ぶことで、「コーヒー屋さん」ではなく「ブランド」として認識されやすくなっている点が特徴です。

自分にどう応用できるか(示唆)

新規オープンや新メニュー投入のタイミングでは、「当日発表」ではなく「予告期間」を設けることが応用できます。ワンイベント(グッズでなくても、期間限定メニューの予告写真や仕込み風景でも構いません)を軸に、投稿を数回に分けて盛り上げていく設計にすると、当日の反応が変わってきます。

事例2:コメダ珈琲店(全国チェーン)

どんなアカウントか(事実)

名古屋発の喫茶店チェーン、コメダ珈琲店の公式アカウント(@komeda_coffee_official)です。プロフィールには「くつろぐ、いちばんいいところ」というブランドの一言が掲げられており、50周年を機に始まった「KOMEDA COMES TRUE.」というプロジェクトメッセージも展開されています。フォロワー数は40万人台後半に達する規模まで成長しており、投稿数も460件を超えています。

何が参考になるか(分析)

投稿を見ていくと、シロノワールやコーヒーといった商品そのものだけでなく、店内でくつろぐシーンや季節の装飾など、「コメダで過ごす時間」を想起させるビジュアルが多く並んでいます。プロフィールの一言もあわせて、「早い・安い」ではなく「くつろげる」という感情面の価値を一貫して伝えているのが特徴です。大手チェーンでありながら、どの投稿を切り取っても同じ世界観に見えるよう、色味やトーンがそろえられています。

自分にどう応用できるか(示唆)

自店のメニューを紹介する際にも、「商品そのもの」の写真と「その商品を楽しんでいる時間」の写真を半々くらいの比率で混ぜてみることが応用できます。また、プロフィール欄に「うちの店は何を大事にしているか」を一言でまとめておくと、初めて訪れたユーザーにも世界観が伝わりやすくなります。

事例3:大戸屋ごはん処(全国チェーン)

どんなアカウントか(事実)

定食チェーン大戸屋の公式アカウント(@ootoya.jp)です。「からだにうまい。」は大戸屋が長年使い続けているブランドスローガンで、プロフィール文でも新メニューや調理・素材のこだわりを紹介する姿勢が明記されています。フォロワー数は7万人超、投稿数は800件に迫る規模まで蓄積されています。メニュー紹介の投稿やリール動画を中心に、大戸屋のこだわりを伝える内容が発信されています。

何が参考になるか(分析)

「からだにうまい。」というコピー自体がプロフィールと投稿の両方で繰り返し使われており、見る人に一貫したメッセージとして刷り込まれる作りになっています。定食チェーンという業態上、メニューの品数が多くなりがちですが、投稿ごとに「今日はこのメニュー」と焦点を絞ることで、情報過多にならずに伝えたいポイントが明確になっています。

自分にどう応用できるか(示唆)

自分の店に置き換えるなら、まず「うちの店らしさを一言で表すコピー」を決め、それをプロフィール文と投稿キャプションの両方で繰り返し使うことが応用できます。メニューが多い店ほど、1投稿1メニューに絞る勇気が、結果的に伝わりやすさにつながります。

事例4:amam dacotan(東京・表参道のパン屋)

amam dacotanの写真トーン統一とハッシュタグ設計を示すオリジナル図解
事例4:amam dacotanの世界観づくり(オリジナル図解)

どんなアカウントか(事実)

福岡発のベーカリー、amam dacotanの公式Instagramアカウントです。2018年に福岡市内でオープンした後、2021年に東京・表参道へ出店したことで全国的な知名度が広がりました。手がけるのは、長崎でホテル勤務、東京で和食・イタリア料理の技術を磨いたシェフ・平子良太氏です。紹介記事によれば2022年1月時点で5万人を超えるフォロワーを獲得していたと伝えられており、現在は表参道店のアカウントが単独で10万人を超え、京都店など店舗ごとのアカウントを展開する規模まで成長している様子です(店舗別に複数アカウントが存在するため、ブランド全体の合計フォロワー数は公表情報からは判断できません)。投稿では色調が統一された写真が使われ、キャプションには「がりっ」「じゅわっ」といった食感を表す言葉が積極的に使われています。ハッシュタグは「#表参道パン」のような地名・目的系のタグと、「#サステナブル」といったブランドの姿勢を伝えるタグを組み合わせて使っていることが紹介されています。

何が参考になるか(分析)

個人店・小規模店であっても、写真のトーンをそろえるだけでプロフィール全体の見え方が大きく変わることが分かります。また、「がりっ」「じゅわっ」のような擬音語は、専門用語を使わずに食感や美味しさを伝えられる工夫で、読み手にとってのハードルが低い言葉選びだと言えます。ハッシュタグも「検索されそうな言葉」と「ブランドの姿勢を伝える言葉」を両方使い分けている点が参考になります。

自分にどう応用できるか(示唆)

大きな予算をかけなくても、「写真の色味・明るさのトーンをそろえる」ことと「擬音語を使ってキャプションを書く」ことは今日から真似しやすい工夫です。ハッシュタグも、地名・カテゴリなど検索されやすい言葉と、自分たちの姿勢を表す言葉を1つずつ混ぜてみることから始められます。

事例5:ほっともっと(全国チェーン)

ほっともっとの複数アカウント運用と期間限定企画を示すオリジナル図解
事例5:ほっともっとの複数アカウント運用(オリジナル図解)

どんなアカウントか(事実)

持ち帰り弁当チェーン、ほっともっとの公式アカウント(@hottomotto_official)です。フォロワー数は約19万人、投稿数は1,700件を超えています。17周年を記念した施策として、「ほっともっと17thアニバーサリーインスタライブ〜3Days〜」という3日間連続のインスタライブ企画を実施し、料理系・グルメ系のクリエイター3名(はるあん氏、ゆめいちゃん氏、オーガ・グルメの鬼氏)が日替わりで人気メニューを紹介するという内容が、プレスリリースで公表されています。配信は公式アカウントとクリエイター側のアカウントの両方で同時に行われました。

何が参考になるか(分析)

自社アカウントの投稿だけでなく、外部のクリエイターと組んで「その人のフォロワーにも届く」設計にしている点が特徴です。単発の投稿ではなく「3日間」という期間を区切ることで、企画として認識されやすく、続けて見てもらいやすい構成になっています。周年という「区切りのタイミング」を口実に、普段とは違う特別企画を打ち出しているのも特徴です。

自分にどう応用できるか(示唆)

インフルエンサーを起用できなくても、「◯周年」「◯月限定」のような区切りを作り、その期間だけ普段と違う企画(連続投稿、ライブ配信、アンケート企画など)を用意するという発想は応用できます。自社アカウントだけで完結させず、関係者やお客様のアカウントと絡める形を検討するのも一つの方向性です。

事例からの共通の学び

5つの事例を横断してみると、規模や業態が違っても共通しているポイントが見えてきます。

事例からの学び3つのポイントをまとめたオリジナル図解
事例からの学び3つのポイント(オリジナル図解)

1つ目は、「商品を見せる」だけでなく「その店らしさ・過ごし方」を見せていることです。NO COFFEEのグッズ展開、コメダの「くつろぐ」という一言、amam dacotanの写真のトーン統一は、いずれも商品そのものの魅力に加えて、ブランドとしての印象を積み重ねる工夫です。

2つ目は、言葉づかいやビジュアルに一貫したルールを持たせていることです。大戸屋の「からだにうまい。」のような繰り返しのコピーや、amam dacotanの擬音語の使い方は、決めたルールを守り続けることで初めて「らしさ」として定着します。

3つ目は、投稿以外の企画で接点を増やしていることです。ほっともっとのインスタライブ企画や、NO COFFEEのコラボグッズは、通常投稿とは別の切り口でフォロワーとの接点を作っています。毎日の投稿だけに頼らず、区切りのタイミングで特別な企画を用意することが、アカウントに動きを生んでいます。

いずれも派手な仕掛けというより、「決めたことを一貫して続ける」という地味な積み重ねが土台になっている点は、あらためて意識しておきたいところです。

まとめ

今回は、NO COFFEE、コメダ珈琲店、大戸屋ごはん処、amam dacotan、ほっともっとという5つの飲食店Instagramアカウントを、事実と分析に分けて見てきました。

共通していたのは、①商品だけでなく「その店らしさ」を伝えていること、②言葉づかいやビジュアルのルールを一貫させていること、③投稿以外の企画でも接点を作っていること、の3点でした。

もし今日からひとつだけ真似るとしたら、まずは「プロフィール文に、うちの店らしさを表す一言を決めて入れる」ことから始めてみてください。そのうえで、次の投稿から写真のトーンやキャプションの言葉づかいに、その一言に沿ったルールを1つ足してみる。この小さな積み重ねが、今回紹介したアカウントたちにも共通する土台になっています。

ここまで読んで、「やることは分かったけれど、毎回この投稿文を考えて、ルールに沿って整えるのは大変そう」と感じた方もいるかもしれません。

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